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「もう大丈夫かな・・・」
俺は、押し入れの半分を開けて、外に出ようとして踏みとどまった。
もし、また誰か来たら?
このまま、時間までやり過ごす方が、良くないか?
「なんか、時間つぶせるものでもあったかな・・?」
押し入れの中には、小学校時代の捨ててもいいんだけど、なんとなく捨てられない産物の段ボールが何個かある。
俺は、その中の一つをあさった。
「うわっ、やべぇ・・懐かしすぎる・・・・」
俺が手にしたのは、小学生時代に書いた日記だ。
字が書けるようになると、お母さんは俺に日記を書かせた。
「毎日一行でもいいから、書きなさい」
しぶしぶ書いた日記を母親に見せると、笑ながら端っこにコメントを書いてくれた。
そのコメントが嬉しくて、俺は毎日、短い日記を書いた。
当時お気に入りだった、戦闘ヒーローの自由帳。
俺はペラリとそのノートを捲った。
大きさもバラバラ、日本語もめちゃくちゃ、だけど、言いたいことは伝わる、そんな文章がぎっしり書かれている。
『きょうは、おとうさんとおさんぽしました。そのあとゲームをしました』
「おっ、俺、カタカナ書いてるじゃん」
妙なところで感心して、母親のコメントを見ると
『たのしかったかな? なんのゲームをやったのかな?』
そんな風に書かれていて、その横にその日の日付が書いてあった。
それによると、俺は5歳だ。
「なんか・・今とあんまり変わってねぇな~」
俺は独り言を漏らしながら、次のページを捲っていった。
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