第1章

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 次にとった団扇をそっと覗くと、世紀末の救世主がモヒカン野郎に秘孔を点いていた。 「それはケンシロウだよ!」  俺は団扇に頭突きをした。 「たかひろ君!?」  彼女は真剣な目でこっちを見ている。 「ごめん、でも大丈夫。後二枚ある」  俺は意味もなくそう呟いた。  これ以上、俺を怒らせたらあの物販を燃やす。  怒りを刻むために俺はきちんと団扇を見た。そこにはケンシロウがタバスコを加え、相手をギッタギタにしている姿が映っていた。どちらかといえばやられている方がバンドマンに見える。  ……野郎、いい度胸してるじゃねえか。  俺が欲しかったのはハイドだが、ギターのケンでもよかった。それをあいつは踏みにじったのだ。  次に来るのは何だ?  もうここまで来れば俺の頭は冷静だ。どう転んでも、まともな画像が載っているわけがない。  そう覚悟して次の団扇を取ると、そこには可愛いお猿さんの親子が映っていた。  すでに人ではなかった。 「ユッキーじゃなくて、ウッキーってか……」
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