第1章

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 ガタンゴトン、ガタンゴトン。  電車の車輪の規則正しい音が車内に響いてく。その音が耳に当てたヘッドフォンと連結し、今から始まるライブ会場へと導いていく。昨日の夜から擦り切れるほど聴いており、頭の中ではすでに曲の順番までインプットされている。 今聴いているのは『ヘブンズドライブ(天国への旅行)』というシングルだ。 「楽しみだね、今日のライブ」  隣で彼女がはにかみながら笑っている。俺は今、初めてできた彼女とライブ会場に向かっている。ライブ会場は福岡サンパレスだ。  今日のライブはL'Arc-en-ciel(ラルクアンシエル)というバンドで、俺が彼女と出会う前から好きだったバンドだ。通称ラルク、フランス語で『虹』という意味らしい。彼女も俺の存在がない時からこのバンドが好きだったので、お互いにファンとして二人ともすでに緊張している。  もちろんマイナーなバンドではないし、好きだというクラスメイトもたくさんいる。だが俺と彼女は同じ部活で、彼女は一つ下の後輩だ。得意な科目も多く、食べ物や趣味も合う。大げさにいえば、俺の中ですでに運命の人、というカテゴリーに入っているのだ。
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