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「えー昨日ちゃんといったじゃん。覚えてないの?」
……しまった、また地雷を踏んだ。
俺は目頭を押さえた。彼女が好きなのはベースとドラムだ。だがどちらが一番好きか、という話は覚えていない。
昨日の彼女はとっても魅力的な格好だったのだ、ラルクのメンバーなどどうでもよかった。
「ベースのテ……」彼女の表情を伺いながらいう。不味い、この反応は絶対に違う。「キヒロだよね」
「テキヒロ?誰それ?」
「ごめんごめん、ユキヒロだよね」
「そうそう、ハイドと同じくらいの身長なのに可愛いのよね」
……し、身長の話だけは勘弁してくれ。
電車に乗っている人達の視線を感じる。やばい、この中にいるファンが間違いなく俺たちに敵意を剥き出しにしている。
彼女の身長は170cmの俺とほとんど変わらない。だからこそユキヒロの身長でも可愛いといってしまえるのだ。
ついでにいえば、ハイドの身長は……それ以上は心の中でもいえない。
「まあテツのも持ってきてるんだけどね」
……どっちもあるんかーい!
俺は大きく突っ込んだ。電車ですでに揺れている俺の体をこれ以上、揺さぶられては身が持たない。
「……今日さ、どうする?」
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