第1章

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 ようこは俺の肩を掴みながらいう。 「一応、友達の家に泊まるっていってきたんだけど」 「え?マジ?」  俺の心は津波のように揺れる。 「だって帰り混雑するでしょ。だから……たかひろ君ともっと一緒にいれたらと思って」  心臓の鼓動で息が止まりそうになる。俺は一体なんといえばいいのだろう。 「そうだな……それについては考えがある」俺は鼓動を抑えていった。「今日は実は……」 「あ、ついたみたいだよ。早くいこ」  俺は彼女に引っ張られながら電車を降りる。  ……まだ慌てることはない、先は長い。きちんと筋道を考えていけばいいのだ。シャイニングロードはすでに見えている。  ライブ会場へ向かう中にハイドの団扇を持っている者がいた。あれが喉から手が出るほど欲しい。 「あの子もハイドだね」 「……ああ」  なんとか交渉できないだろか、だが手作りだ。さすがにその相手に俺の初体験が掛かっているといっても何の効果もないだろう。  そうなのだ、と俺は思い直す。途中の店で団扇を買ってもダメなのだ。手作り感がなければいけない。
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