第1章

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「ああ、もちろんあるよ」  親父はそういって、団扇を取り出した。だがそこにラルクのメンバーが入っているものはなかった。 「すいません、ラルクのメンバーの者が欲しいんですけど」 「誰のだい?」 「ハイドです」 「ごめんね、売り切れたよ」  親父の言葉にがっくりとする。これでは彼女との約束が守れない。 「ああ、でも一つだけあるよ」  俺の心臓に明かりが宿る。 「本当ですか?」 「ああ、でもそれは5つセットになってるんだ。だから全部買わないといけないよ」  俺は迷った。袋の中身は見えないし、五枚セットは正直必要ない。だがトイレといってるため時間がないのだ。 「いくらですか?」 「5000円だよ」  高いわ! 俺は心の中で叫んだ。 「すいません、なんとかまけられないんですかね?」 「しょうがないね、君、何歳?」 「17歳です」 「じゃあ1700円でいいよ」 「まじっすか!」俺は嬉しくて声を上げて喜んだ。「買います! ありがとうございます」  2000円渡しそのまま帰ろうとする。釣りはいらない、といった風に会場に戻ろうとすると、親父に止められた。 「お釣りは?」 「要りません」 「そうか、じゃあこれを持っていきな、餞別だ」
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