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「ああ、もちろんあるよ」
親父はそういって、団扇を取り出した。だがそこにラルクのメンバーが入っているものはなかった。
「すいません、ラルクのメンバーの者が欲しいんですけど」
「誰のだい?」
「ハイドです」
「ごめんね、売り切れたよ」
親父の言葉にがっくりとする。これでは彼女との約束が守れない。
「ああ、でも一つだけあるよ」
俺の心臓に明かりが宿る。
「本当ですか?」
「ああ、でもそれは5つセットになってるんだ。だから全部買わないといけないよ」
俺は迷った。袋の中身は見えないし、五枚セットは正直必要ない。だがトイレといってるため時間がないのだ。
「いくらですか?」
「5000円だよ」
高いわ! 俺は心の中で叫んだ。
「すいません、なんとかまけられないんですかね?」
「しょうがないね、君、何歳?」
「17歳です」
「じゃあ1700円でいいよ」
「まじっすか!」俺は嬉しくて声を上げて喜んだ。「買います! ありがとうございます」
2000円渡しそのまま帰ろうとする。釣りはいらない、といった風に会場に戻ろうとすると、親父に止められた。
「お釣りは?」
「要りません」
「そうか、じゃあこれを持っていきな、餞別だ」
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