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「私は要らないわ。カップや茶葉やお湯とかに、変な物が仕込んであるかもしれないし」
ソファーに腰かけながら藍里がそんな事を口にした為、セレナは瞬時に動きを止めて固まり、ウィルも目つきを険しくしてワゴンを睨み、双方が藍里の主張を認めた。
「そうですね……、止めておきましょう」
「随分、徹底しているな」
呆れ半分、感心半分で口にしたルーカスだったが、彼女は当然の如く答えた。
「色々伯父さんに言われたもの。要するに周りは全部敵でしょう? 審判も含めて」
「は? 審判?」
ルーカスがここで怪訝な顔をした為、藍里も不思議そうに問い返す。
「仮にも試合だし、勝敗の判定をするのに審判とか居ないの?」
「勿論居る。一応戦闘になるわけだから、観客席とかに被害が出ない様に、防御する役目も兼ねているしな」
そこで藍里は、冷静に尋ねてきた。
「それって、どういう人がなるの?」
「基本的に、試合をする階級より上の聖騎士が、二人以上で担当する。勿論公平を期す為に、対戦者の身内や親族は除かれるが」
「じゃあ最高位のディルの場合は?」
「それは、ディルが三人以上……」
「どうしたの?」
何かを言いかけて、急に口を閉ざしたルーカスに、藍里が不思議そうに尋ねた。するとルーカスは、徐々に険しい顔付きになりながら話を続ける。
「俺達に、審判就任要請は来ていない。ここ暫くお前の護衛に付いてリスベラントを離れていたから当然だが。そしてお前の身内のマリーとユーリも、当然除外される」
「それはそうよね? 贔屓しちゃ拙いもの」
「だから総数15名のディルのうち、当事者のアンドリューとその6人が除外。お前の次に、カイルと試合をするガイヤードも省いた、残り7人の中に、対戦相手のアンドリューの三親等以内の親族は居ないが……」
「それなら別に問題は無いでしょう?」
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