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「うわああああっ!?」
僕は叫び声を上げ、それを聞き付けた母が部屋に入って来た。
「知明、どうしたの?」
「おば、お化、お化けが出たんだよおっ!」
「あらあら、怖い夢でも見たのね。何事かと思ったわ」
母は僕の頭を「よしよし」と撫でベッドに寝かしつけた。本当は一緒に寝て欲しかったのだが、さすがにもう小五だったので我慢した。
仕方なく布団を頭まで被りガタガタと震えていると、ヒソヒソと小声が聞こえてきた。
『めんごめんごめんごりら。脅かすつもりはなかったんだ』
その声と口調に、僕の記憶はハッと呼び起こされた。
「…………あ、まの君?」
『正解! 崩壊! 大決壊!』
そっと布団から顔を出すと、ベッドの上であぐらをかいて座っていた白装束の男の子と目が合った。
その人物は、紛れも無く死んだと聞かされた天野君だった。
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