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ロープをくぐり現場に入ると、
二人を見つけた眼鏡を掛けたずんぐりとした体格の鑑識の制服を着た中年の男が近付いて来た。
水澤も真田も良く知る顔である。
「いやぁ、
水澤君ご苦労さん。
睦月君は相変わらず、
すらっとしてモデルさんみたいだね」
真田は交番勤務時代に警察官募集パンフレットや警察広報誌に良くモデルとして起用され、
道警内でちょっとした有名人であった。
すぐさま水澤が返す「真田は“うち”の専属モデルですから。
ただ、
こう見えて、
柔道、
剣道、
逮捕術、
射撃どれも並の男じゃ太刀打ちできませんけどね。
出来る奴ですよ。
――それより佐々木さん、
どんなもんですか?」
水澤が後輩を立てつつ聞くと、
佐々木さんと呼ばれる男、
鑑識課長の佐々木寛和は大きく丸い手のひらを顔の横でひらひら舞わす。
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