プロローグ 真田亮一警部補

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 二〇〇〇年二月十日深夜、 非常口を示す緑の光が一部電灯の消えた廊下の壁を緑色に照らす。  静まり返る札東警察署の捜査二課のフロアで俺は捜査中の詐欺事件の調書を書き終えると、 椅子にもたれ掛かり伸びの動作をして大きく息を吐く。 (コーヒーでも飲むか……) すると、 向かいで熱心に作業を手伝ってくれている部下の野村と目が合った。  俺はジェスチャーで飲み物を飲む動作をする。  野村は右手をひらひらと顔前で揺らし、 僕はいいです。 とジェスチャーで返す。  俺は立ち上がりコーヒーを買う為に休憩室の自動販売機へ向かう。
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