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札幌市西区の整形外科病院。
午前九時の診察開始から早々に、
受付には次々と患者が現れ待合室の長椅子を埋めていく。
これから十一時までは午前の診察時間のピークである。
「木村正一さん!!診察室二番へお入りください」
六月というのに、
長袖の木村正一は待合室の椅子から立ち上がる。
長袖なのは、
若りし頃の彼の“職業”に関係する。
当時は、
腕をさらけ出し肩で風切り歩いていただろう。
引退したとはいえ、
このご時勢半袖姿で“それ”を露出させ、
周りの人々に威圧を与えるのは申し訳ない。
そんな理由で木村は夏でも長袖で通す。
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