プロローグ 真田亮一警部補

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 ちらりと時計を見る。 すでに零時を越えていた。  最近は午前様続きで、 九歳の娘とはもう三日間しゃべってない。  内ポケットをまさぐり小銭入れを探す時に思う。  (野村は新婚だったな、 あいつも頑張っているしコーヒーでも奢ってやるか……)  スーツのポケットから手探りで小銭入れを取り出そうとした時、 ピリリリッ!!ピリリッ!!と携帯電話の呼び出し音が鳴った。  二つ折りの携帯電話を開くと宮田と表示されている。  宮田……同期の宮田。 交番勤務の巡査時代は毎週会っては語ったものだが、 最近はお互い忙しく月に一、 二度飲みに行くくらいだ。
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