偽りの婚約は船上で

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「それは知らないけど、私はね、福引きのおじさんが豪華な食事が出るっていうから参加したの。 でもまさかこんな凄いパーティーだとは思わなかった。 皆派手なドレス着て、ここは舞踏会かって突っ込みたくなった」 「独身の女たちは、必死になっていい男を捕まえようとしているぞ。 ここに来ることができるのは上流階級者だけだからな」 「ふーん、興味ない。セレブな男なんて、あんたみたいに上から目線の嫌な奴でしょ」  じとっとした目で見上げると、彼は「ははっ」と声に出して笑った。 「まあ、俺はここの中で一番人気の男だと思うぞ」 「出た自慢。ここにいる女性、男を見る目ないね」  取り巻きに囲まれていたので、きっとリアルに一番人気なのだろう。 このルックスとよく分からないけれど金持ちそうなオーラ。 人気な理由は分からないではないけれど、私はごめんだ。 「お前面白いな」 「悪いけど、冗談で言ってるわけじゃないからね。嘘偽りのない本心だから」  こんなにボロクソに言ってもまったくへこたれない様子。 それどころか目が輝いてきているんだから、変にもほどがある。
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