第二章

1/9
37人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ

第二章

― 第一〇話 ―  私は神託の凄さを実感していた。  私が八歳になった年に、トヨアシハラ国の使いの者が、この神殿にたどり着き、私とライトとシャドウの三人を城へと連れて行ってくれることになったからだ。  一一歳になろうとも、毎日勉強、運動、ダンス、お行儀、楽器などの様々な訓練が続いていた。  一〇歳の時に、この国の第一王女としてのお披露目式が開かれた。今年は私の弟にあたる第一王子のお披露目式だ。  実は、私が見つからなければ弟が次期国王になっていたとかで、いくら王家の血を継ぐ者しか得られない『神の許し』を持っているからと言ってもと言う声も上がるほど、王宮内の勢力は中立派を含めるならば、三分割されていた。  しかし弟は、「初めて自分よりも年が上の兄弟に会った!」と大はしゃぎして、ほとんど毎日、私をお茶会に誘ってくれる。  もちろん私も、初めて家族が出来たに等しいので、弟を思い切り可愛がっていた。  そして今日もお茶会に呼ばれていたので、シャドウとライトを伴って、お茶会に参加しに弟の離宮へと足を運んだ。 「ごきげんよう、アメジスト」 「いらっしゃいませ!ガーネット姉上!!  今日は、姉上から頂いた、クッキーのレシピをうちの料理人に渡して、クッキーを作らせました!  紅茶とはちみつ、普通のものと三種類です!」 「まあ、ありがとう!私(わたくし)クッキーは大好きなの。  本当にありがとう!  ところで、今日の紅茶はどこのかしら?」 「はい!姉上のお過ごしになられたという国の最高級茶葉、チャフレニアッシュです!」 「まあ、懐かしい。今日は本当にうれしい日だわ!」 「では、姉上!どうぞお席へ!」  そうして兄弟のお茶会は始まったのだが、運ばれてきた紅茶の香りにかなりの違和感を感じた。 (これは何か混ぜ物が入っているわね)  私は招待主である弟がカップに口をつけるのをきちんと待った。  が、弟は口をつけない。 「どうして紅茶とお菓子を食べないの?  私の持って来たお菓子の毒見は終わっていてよ?」 「え?毒見ですか?  ああ、うっかりしてました!  じゃあ、いただきます」  そう言って弟がカップに口をつけようとしたとき、真っ青になった弟の側仕えが、弟のカップを叩き落した。  ガチャーン!!  すべての視線が彼女に集まった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!