第一章

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― 第九話 ―  あれからもう三年が経った。  私は六歳になったのだが、やはりと言うか、ライトとの訓練は未だに続いていた。  しかも、ライトは様々な武器を使った訓練をさせるので、わずか六歳にして、ほとんどの武器を完全に使いこなすまでに至った。 「ライト、いくらなんでも、ここまで、鍛えてほしいって、言ってない、気がするけど!?」 「いえいえ、いつ何時、襲われるか、わかったものじゃあ、ありません・・・!  備えあれば憂いなし、ですよ!!」 「わかって、るわよ・・・!」  今は、二人ともが、トンファー(厳密に言えば、魔力を纏える武器なので違うが)を使って、組打ち(?)を行っていた。  これには、さすがのシャドウも苦い顔をしていた。 「ライト、このままではルチア様は、手近な武器であれば戦闘できるようになってしまいます。  しかも、ルチア様には才能がお有りのようで。  あまり危ないことをさせないように!」  しかしライトは、まったく悪びれもせずに、言った。 「手近なもので反撃できれば、どんな悪漢に襲われようが、ご自分でご自分の身ぐらいは守れるし、護衛騎士が来るまで、ご自分での時間稼ぎができるだろう?」  ・・・・・・こう来てしまえば、さすがのシャドウといえども反論できない。  さらにライトが、「そんなに不安なら、お前の『一撃必殺』の体術でも教えてやればどうだ?それなら、武器がなくてもさらに安心できるだろ?」とか言ったせいで、その日から、嬉々としてシャドウが体術を教えてくれるようになった。 「ルチア様、こういう男が来た時には、右手で相手の胸ぐらをつかみ、左手で相手を左の横腹へと誘導し、そのまま投げ捨てて、ここの腰と胸との間くらい(腎臓のある位置)を、思い切り踏みつけます」 「それ、下手したら、殺してしまう気がするんだけど…」 「正当防衛ですし、何よりそれが私の修めた武術の流派です」 「そ、そう・・・?」  私は、その時は、無理やりにでも納得するしかなく、そのまま、襲ってきた人がとてつもなくかわいそうなことになるような体術を、シャドウから教わり続け、魔力の扱いと武器を使った体術はライトに、祝福や学問などは神殿長か新官長に教わり、文武両道の少女になっていくのでした・・・。  そして、それから五年の月日が流れ、私は一一歳になったのだった・・・。
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