第二章

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― 第一一話 ―  私は心の内でしっかりとその側仕えを嘲笑いながら、無邪気に首を傾げて見せる。 「あら?どうかしたのかしら?  なぜ、私のかわいい弟の側仕えが、弟に毒見をさせないのかしら?  もしかして、毒でも入れたのかしら?私のかわいい弟のコップに?」  そして、しっかりと相手を見つめ、笑って見せた。  正面で顔をひきつらせた弟が小さく、「姉上、お顔が怖いです…」と言ったが、そんなことはどうでもいい。 「私に毒を飲ませようとなさったことは別にかまいませんが「おい!?」「姉上!?」、私のかわいい弟にも同じ毒を飲ませようとするだなんて、なんていい度胸なのかしら・・・?  私の怒り、あなたがきちんと受け止めてくださるのよね?」  そう言うと、私は輝かんばかりの笑顔で椅子から立ち上がり、その側仕えのもとへ、一気に距離を詰めた。  その側仕えも、弟の騎士たちも全く動けなかったのに、私の行動を読んでか、ライトとシャドウが私の眼の前に飛び出した。  私は、持っていた銀食器(ナイフ)を振りかぶったままの姿勢で、ライトにつかまり、シャドウはその側仕えを取り押さえた。  私は不満顔を作って、ライトに言う。 「どうして私の邪魔をなさるのかしら?  私、少しこの者の首筋を掻き切ってやろうとしただけですのよ?」  それにライトはニコリと笑い、「だめです」と言う。 「まあ、なぜかしら?  私、初めてできた弟をみすみす殺されるところでしたのよ?怒って当然ではなくて?」 「たとえそうだとしても、こういう時は王子の護衛騎士に捕まえていただいて、王子が罰を与えるものなのです。いきなり相手の仕事を取るだけでなく、背後のつながりまで洗い出すチャンスを棒に振るものではありません」 「は~い、次からは気を付けますわ」  まだ不満げな顔を隠さず、私はとりあえず席に戻る。  そして、未だ呆然としている弟に笑いかける。 「ごめんなさいね、アメジスト。  私、かっとなりやすくて…。あなたが目の前で死ぬことは絶対にしたくなくて。  恥ずかしいところを見せてしまったわね、ごめんなさい」 「いえ、大丈夫です!では、そこの恥知らずは私に任せて下さい。  連れて行きなさい!  ・・・で、姉上、どうやったら姉上のように強くなれるのか、教えてください!!」  目を輝かせて尋ねる弟。どうしましょう?
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