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― 一二話 ―
「小さい時からの訓練のたまものよ?」
「姉上はいったいおいくつで始められたのですか!?」
「えっと、五つの時かしらね。
そのころから、ありとあらゆる武器を使えるように教えてもらったわね。ああ、勿論体術もきちんと教えてもらったわ」
「いったいどなたに教わったのですか!?
体術と武器を使った技の達人など、私は知りません!!」
この流れで、ライトとシャドウに教わったといっても良いのかしら・・・?
「武器の扱いは、私の護衛騎士であるライトから、体術は側仕えのシャドウから教わったわね」
すると、周りにいた全ての騎士が、ライトとシャドウを凝視した。
そして、一人が「ああ、彼らから教わったのならば納得がいきますね・・・」と諦めたような声で言った。
「その言い草、酷いですねえ。私と同期で騎士になれたというのに。
たしか部屋も同じでしたよね?リーヴェス?」
「確かにライトだな。俺をリーヴェスと呼ぶのは、お前とお前の双子の妹のシャドウだけだからな」
「おや、リーヴェスが本名じゃあありませんでした?私、勘違いしていたみたい」
「「「シャドウ・・・」」」
思わずため息を三人同時についてしまった。
「あなたの同期ぐらい、きちんと名前を把握していなくちゃあだめでしょう?シャドウ」
「確かにそうですね。しかし姫様、私は騎士ではないので、彼の本名を知る必要はないのですよ?
同じ側仕えになったものなら分かりますけど」
「あなた、それは少しひどすぎやしないかしら・・・」
彼、あそこで血涙流しているわよ?全くもう。
ライトも必死になんか慰めてるし。
「ああ、どうせそうだろうとも!
・・・俺なんて、好きな女に名前すらまともに覚えてもらってなかったのか・・・!!」
「えっと・・・、まあ、落ち着け?リーセン・フォン・ヴェルテット」
「好きな女の双子の兄に名前覚えられても、意味ねえんだよ・・・!
このくそ野郎!」
「理不尽・・・」
ああ、とうとうライトまで落ち込んじゃったじゃないの・・・。
「シャドウ、せめてリーセン・フォン・ヴェルテットの方だけでも慰めてあげなさい」
「はあ、分かりました。
リーセン、ごめんなさい。きちんと覚えたわ!」
それがまた、人を傷つけているとは、全く考えていないみたい・・・。
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