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第一章
― 第一話 ―
熱い。痛い、狭い、痛い、狭い、痛い!
こんな苦行、耐えられない!
次の瞬間、私は強烈な光に包まれた。
そして、恐怖のあまり、まるで赤ん坊のように泣き出してしまった…。
「おぎゃー、おぎゃー、おぎゃー!」
そして、聞こえてきた言葉も、自分の発した子供の泣き声についても理解できなかった。
まるで耳鳴りのようにがんがんと頭に響く…。
――そのまま、私…端田一葉の意識は、この世からも完全に消え去ったのだった――
――三年後――
私はどうやら、端田一葉と言う人の生まれ変わりらしい。
私はルチア・ガーネット・ジュエル。生まれたときに、母親から捨てられ、今は孤児院で暮らしている。
三歳にしてはあまりにも思考がしっかりしているが、これはただ単に記憶があるためこんな喋り方なのであって、普段は普通の三歳児と同じような言動になるように注意している。
孤児院はあまりいい印象を受けることはない。
孤児と言うことは、それだけで社会的に不利な立場にある。
これは記憶だけでなく、今現在の体験で実証済みだ。
ちなみに今は、一二歳の孤児院の先輩である少年に、憂さ晴らしのために蹴られている最中である。
孤児院の中でも、やはり上下関係はあるわけで、やっぱり親がいること居ない子では、居ない子の方が不利になる。それはどこの世界や国でも同じ。万国共通。
それでもそれでも、子供と言うものは何にでもすぐに慣れることが出来るようだ。
もう今では、痛いことが当たり前になっていて、体のあちこちが痛くないと生きている感じがしない。
最も、痛くない日や痛くないときなんてありはしないのだけど…。
普通の子供の何倍も精神年齢が高いので、生意気な子供に映るのだろう。しょっちゅういじめと言ういじめを受ける。
私は確信している。
この世に神など居ないということを。
ならばなぜ、彼らは神と言う不確かで理不尽なものを信じているのだろうか…。
私には分からない。
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