第一章

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― 第四話 ―  五年ってことは、八歳になった時と言うわけか。 「その間、ただ耐えていればいいとでもいうんですか?  明日死ぬかもしれないのに?」 『確かにその通りですね…。  分かりました。明日から少しずつ事態が好転していくように、主神に掛け合いましょう。いつ死ぬかわからない子供に対して言う言葉ではありませんでしたね。申し訳ありません』  ……こんなに簡単に神様が意見を変えるのは、色々といけないことだと思うけど。  というか、この神様が体よく扱われていないか、かなり心配になってきた…。 「まあ、色々と融通をきかせてくださり、ありがとうございます。  明日からも日々、努力を忘れずに頑張りたいと思います」 『素晴らしい心意気ですね。  頑張って精進なさいませ』  そういうと、知識の神フェルミストースは消え、同時に夢から覚めた。  辺りはまだまだ暗く、しかも月の位置はほとんど変わっていなかったため、ほんの少しの時間しかたっていないことが分かった。  私は頑張って、もう一度眠ったのだった。 ― 次の朝 ―  朝食を食べていると、私はなぜか神殿長に呼ばれ、神殿長室へ向かった。  私が部屋の扉をノックすると、中から「入れ」と言う声が聞こえた。  しかし、いかんせん、私は三歳の幼女である。  身長が足りず、ドアノブに手が届くわけがない。  ここまで歩いてくるのも、よちよちと歩くしかなく、子供の体力では、完全に息が上がっていた。  それでもがんばって、はるか頭上にあるドアノブに必死に手を伸ばし、背伸びまでしていたのに届かなかった。  中からは、「早く入りなさい。話があるといっただろう」という、神殿長のイライラした声がする。  私は精一杯の舌足らずな口調で、「てがとどきません」と言うと、中から護衛騎士の鎧がガチャガチャとなる音がして、いきなりこちら側にドアが開いた。  私は当然、おでこを強くぶつけ、後ろへ転がった。  護衛騎士は大慌てで私を抱き起すと、「大丈夫か」と聞いてくれた。  私は、少しふらふらしながらも、何とか頷いた。  ほっとしたように息を吐く護衛騎士に、神殿長が「早く連れてきなさい」と声をかける。  その護衛騎士は、ひょいっと私を抱き上げると、神殿長室へ入り、ドアを閉め、鍵をかけてしまったのだ。
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