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― 第五話 ―
「あの…、しんでんちょうさま、なんのごようですか?」
「ふむ…。そなた、一応礼儀作法は分かるようじゃな。
確か三歳ではなかったのか?
まるで、舌足らずなだけの七・八歳の少女のような言葉づかいじゃ」
しまった…。
さすがに三歳で、この言葉遣いと態度はおかしかったか!
「えっと…。ありがとうございます?」
「……。まあ良いわ。
そなたには話があるといったであろう?
今から言うから、よく聞きなさい」
「はい」
「そなたは自分の魔力を使って、その傷を癒したのか?」
えっと…、三歳の幼女ならきっと、小首を傾げながら…。
「まりょく?いやす?」
「ふむ、さすがに分からぬか。
なら質問を変える。
そなたは、神に祈りをささげて、傷を治したのか?」
どうしよう…。答えたら、聡明な子程度かな?
それともやっぱりアウトかな…?
「わしは怒るつもりなどない。
正直に答えよ」
「えっと…。
かみさまにおいのりしました。
そしたら、ぴかーってひかって、いたくなくなって、びっくりしました」
多分、これで正解!
「……先ほどまでと少々言葉遣いが違わんか?」
「そうですか?
よくわかりません」
「そうか。
そのとき、倒れたり、気分が悪くはならなかったのか?」
正直に答えていいのか…?
でも、一応正直に答えるべきだよね。神様に報いるつもりで。
「まったくなかったです。
むしろ、たまっていたものがなくなって、すっきりしました」
「ふむ…。
これは、さすがと言うべきか」
「神殿長、さすがと言うのはなんでしょうか?」
「ん?話しておらんかったか?
この者は、『ルチア・ガーネット・ジュエル』じゃ。
それで分かるであろう?」
分かるかよ!
ただ単に、私の名前を言っただけで、分かるわけないし!
「なんと!!
では、彼女がかの有名な、『ガーネット』なのですか!?」
分かるんかい!
しかも何!?かの有名なガーネットって!
私、神殿から出たこと一度たりともないんですが!?
「ふむ。それなら、納得がいきますね、この魔力量。
明らかに一般人ではないと分かりますものね」
「わしも驚いた。
いつもボロボロになっておる上に、服も髪も肌も、見れたものではなかったからの」
意味不明。
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