第一章

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― 第六話 ― 「では、後はお前達に任せることにする。  この方に着替えと湯あみ、それから食事を。頼んだぞ、『ライト』と『シャドウ』」 「「かしこまりました」」  え?声が二つ…?  この部屋には、私と神殿長、それから護衛騎士様しかいないはずじゃあ…? 「では、私がご案内します。『シャドウ』は、先に部屋で用意をしていてくれ」 「分かった。急ぐ」  え?上から!? 「えええ!?どうやったら天井に立っていられるんですか!?  というか、走って…!もういないし!」  もう、思い切り、『アンビリーバボー!!』って叫びたい!!! 「では行きましょう。  失礼しますね」  はい、定番のお姫様抱っこ(背が足りなさすぎて、抱えられるようになってるけど)!!  と言うか、この騎士様、かなりいい声なさってる。  もう、耳から溶けちゃいそうなんですが!! 「失礼します」  そういって、私を抱えた騎士様は、そのまま、貴族の神官の居住区へ入っていく。 「あの、きしさま。えっと、その」 「ああ、私の事は、『ライト』と呼んでください。  一応役職…仕事の名前です」 「じゃあ、らいとさま。その、私のなまえって、そんなにとくべつなんですか?」 「ええ、そうです。  時期が来れば、そのお名前がどういう意味を持つのかが、きちんとお分かりになるはずです。  今は、気になさらないでください」  ……かなり気になるけど、ここで尋ねてしまえば、三歳児ではない。 「わかりました」  ここは素直に返事をしておくに限る! 「着きましたよ」  私は眼が飛び出るほど驚いた。  目の前の扉は、驚くほど細かい細工のされた、金属のドア。  しかも、金色の地に柘榴のような植物の絵が彫り込まれ、実の部分と花には、赤い石、茎には茶色の石、葉には緑の石がついている、豪奢なドア。  石は多分、宝石なのだろう。  ものすごく綺麗だった。 「あの、なんだか、ばちがいなきがします」 「お気になさらず。すぐに慣れるでしょうし、これでも、本来あなた様がお使いになるであろう部屋より、質素です」 「そ、そうですか」  もう、何も言えない…。  一体全体、私が何者なのか、自分自身でも分かりません!  誰か親切な方、私に、私が何者なのか、教えてください!! 「入りますよ。『シャドウ』が待ってます」
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