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「何してんだアンタら」
だが、運命か偶然か。彼女の思いはまだ、その光を失ってはいなかった。
食料を確保した司は帰路につく途中だった。だが、何時もの道先で、この近隣では見慣れない服装の集団に出くわした。
「何してんだアンタら」
しかも、男三人が一人の少女に迫るという、司がよほど冷徹な人間でもなければ、見逃すわけにはいかないような状況に、だ。
「アン?なんだテメェ」
大吾の脇に控えていた背の高い男が、ズンズンと迫り司の胸ぐらを掴む。
「オイオイ、よしとけよ左島。か弱い下級市民君をイジメたら可哀想だろう?」
演技がかった口調で、左島をなだめる大吾。そのセリフには、司を見下した感じがあった。
「三人がかりで女を襲うとは、随分と情けないことしてるな」
現状をわかってか否か、司は淡々と語る。
「ああ?テメェ、現状がわかっ……オォッ!?」
左島が殴りかかろうとした次の瞬間、身体が宙に浮き、背中から地面に叩きつけられる。
「アガッ!?」
「さっ、左島!?」
鮮やか且つ瞬間的な出来事に、少女や大吾達は目を丸くした。
対して司は、何事もなかったかのように乱れた襟元を整える。現状に関わってしまったはずなのに、我関せずといったように。
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