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絶叫し、悶絶し、撃沈した。 説明しよう。 必殺蹴玉とは、敵の背後に気付かれる事なく現れ、金玉を蹴り上げるという、男子小学生がやたらと大好きな技である。 しかし侮るなかれ。男性なら一度は経験したと思われるが、この技はマジで死ぬ程痛い。 それも、平太が金玉を潰さないように力を最大まで上げた蹴りだ。『革命軍』の毒使いだろうが何だろうが一撃で倒れる事も無理のないことだった。 一瞬で『革命軍』を封殺した平太に、何も出来なかった新治が恐る恐る問いかける。 「何で……来たんだ。お前は力を貸してくれないんじゃなかったのか」 彼の疑問に、平太はひょっとこのお面を取り外すと、 「別に、俺は『警軍』に力を貸した訳じゃねえよ。ピンチの“親友”を助けに来ただけだ」 「なっ……」 「まぁ、人質とか『革命軍』とかは“ついで”だな」 平気な顔で小っ恥ずかしい台詞を口にする平太に、新治は「くそったれ」と小さく呟くと、 「礼は言わねぇぞ。……ただ、一つ貸しにしといてやる」 「ったく、ツンデレかよ。まぁいいや、後の事は任した。俺はまだやらなきゃいけねぇ事があっから、先に行くわ」 背を向ける彼に、新治が「やらなきゃならない事ってのは?」と訊くと、平太は「ちょいと、意地っ張りなお姫様を助けにな」と言い、瞬きすらしていないのにも関わらず、全く捉える事が出来ない速度で、この場から忽然と消えてしまった。 一人残った新治は、外にいる『警軍』に事情を説明しに向かう。 勿論、あのキザったらしいボーボー頭の“親友”の事は一切伏せて。
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