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5月10PM1:00
「はぁ、はぁ……はぁッ」
天野 天音は必死に逃げていた。逃げる相手は勿論、退魔師協会の新手である。
荒い息を吐きながら逃げている彼女の身体は昨夜のように、既にズタボロだった。
もう倒れてしまっても不思議ではないのに、今も逃げ続けられているのは吸血鬼としての生存本能のお陰だろう。
いや、“お蔭”というのは語弊かもしれない。何故ならば、天音自身は死のうと思っているのに、血の本能のせいで身体が勝手に動いてしまっているのだから。
退魔師が張った人払いの札によって人っ子一人いない道を駆け抜ける天音。だが、公園に差し掛かった所で足に何かを撃たれ転んでしまった。
「ああ!」
呻き声を上げる天音は、ゴロゴロと回転すると公園にある砂場でようやく止まった。
見る者を魅了させる彼女の美しい銀髪が、透き通った白い肌が砂まみれになる。
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