アビスとセレネ

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 エネルギー効率は飛躍的に上昇し、空、地底、海底と人の行けないところは急速に無くなっていった。  60年以上昔、人類は最大の繁栄を誇っていたのだ。  この時、一部の者は、ステラナイトは星の血肉そのものであり、このまま採掘を続けると星が乱れると警鐘を鳴らしていた。  その真偽は未だ定かではない。  しかし史実として、地底に眠るステラナイトを採掘しつづけた結果、人は星の怒りに触れたのだった。  世界各地で同時発生した異常気象。  風は草木を薙ぎ倒し、雷は大地を焦がし、地震、噴火、津波、竜巻あらゆる災害が、文明を無に帰した。  これが後に大災厄と呼ばれるものである。  この時、地下のシェルターに非難し生き延びた人々が創った組織が元となり、『アビス』ができた。  そのほとんどは労働階級の貧困者達である。  また、富裕層は大災厄以前に空中都市に移り住んでいた為、まったく被害を被らなかった。  元よりあった貧困層と富裕層の確執は、半年続いた災厄の後さらに深まり、ついには地上の民が国家として独立するに至る。  それにともない空中都市群もセレネ共和国を名乗ったのだった。
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