プロローグ

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 スロットルを全開にし、高度を上げていく。 6000……7000……。 「調子は70%ってところか。まあまあだな」 「急ピッチで修理しましたがそれが限界です。少佐の腕があれば問題ないでしょう」  整備員が不満そうに皮肉混じりの通信を返す。  連日の戦闘により、機体へのダメージの蓄積は酷かった。  それをここまで仕上げただけでも整備班は良くやったといえる。 「言ってくれるじゃないか。まあ、やってみるさ」 「ご武運を」  遠距離無線をOFFにする。  ここから先は近距離無線のみにしなければ、技術力で劣る我々はたやすく傍受されてしまう。  正面のモニターに広がる、お世辞にも美しいとは言えない景色。  草木は一本も無い。虫も鳥もいない。赤茶けた荒野だけが広がる世界。  防護服無しでは、10秒と生きられない殺人的な大地。  これが《ステラ》である。 「この星は泣いている、か。確かにそうなのかもな」  物思いにふけっていると早くもレーダーに反応がある。  識別は赤。  セレネ共和国、我々の敵だ。  そしてリアの仇。  それは同じ星の上で生きる人間である。
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