第1章

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アメリカ兵と結婚したワタシは、横須賀からも横浜からもほど近い 上大岡の街に住んでいる。 神奈川の反対側に住んでいたワタシは、デートの度に、この赤い電車のボックス型シートに遠足のようなワクワク感を覚え、「快特」「特急」「普通」が読めないアメリカ兵達の「Green」「Red」「black」の呼び名にもすぐ馴染んだ。 気がつけば、この赤い電車は海に遊びに行くために乗る電車ではなく、毎日 生活のために乗る電車に変わった。 この赤い電車の走る街を「地元」と感じ始めた頃、ワタシの弟も 結婚し、沿線沿いに家を購入することになった。 神奈川の反対側に住んでいた 両親も、弟の新居のすぐそばに、終の住処を構えるという。 散り散りに住んでいた家族が、10数年振りにこの赤い電車で繋がるのだ。 この赤い電車の走る街が、ワタシとワタシの家族の、新しい想い出の地になってゆく。
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