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―ん…ん…いやだ…
―ユウシ,可愛いね,僕をブライスだと思って身体が反応してる…
ユウシ,ブライスと繋がりたいと思っているんだね…
―ユウシ,僕がブライスだ,だから,良いんだよ…
―あ…あぁ,やめてっ,先生っ…
「…俺,ハーヴィッツ先生に…」
優志の両頬を、静かに涙が流れた。
「…身体を…許してしまったんだ…」
ブライスは反射的に優志を自分の胸に引き寄せて,強く抱きしめた。
ブライスは左胸に熱い涙が浸みるのを布越しに感じて,優志の頭に頬を寄せた。しばらくそうしてから,優志がブライスから身体を離す仕草をした。
「ブライ,…話を聞いてほしい…」
ブライスが腕の力を緩めると,優志が少し離れていった。
「優…言いたくなければ,無理に話さなくてもいい。俺は優に全てを教えて欲しいと望んでいるわけではないんだよ」
優志はブライスの顔を真正面から見返した。
「ずっと言えなかった,ブライに…。苦しかった…。俺がここしばらくおかしかったのは,ハーヴィッツ先生とのことのせいだし,それを隠そうとして講座の演習に悪影響を与えてしまった…グループのメンバーにも迷惑を…。けれど一番辛かったのは,俺がブライに隠し事をしているってことだ…」
優志の表情はすでに意を決しているものだった。しっかり食べたのも,もう気持ちを固めていたからだろうとブライスには思い至った。
「わかった…優が話してもいいと思うのなら…」
優志はベッドの上で胡座をかき,視線を自分の脚に落とした。ブライスは後ろに回り込んで優志を自分の両脚で挟み込んだ。両腕は優志の腹の前に回して抱きしめる。
「…2年次の秋に日本に来た彼は,親切に教えてくれる先生だった。4年次で卒論と大学院進学の準備と英語の資格証明を取るのと,どれにも彼が関わって指導してもらうことは多くなった。けど,ブライスがずっと注意してくれてたように,ふたりきりになることは避けていたんだ。彼に限らず,誰とでも…」
メッセージアプリで毎日連絡を取り合っていて,ブライスもそこら辺はよく把握していた。じゃあ,どうして…。
「…12月に入って全て準備が揃って一段落した頃,他に2,3人学生がいる研究室で俺に訊いてきたんだ…『ユウシはワシントン大のブライスと付き合っているのか』って…」
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