湖の約束 3

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先ほどより大きく仰け反り,ブライスが半分の力で押さえているだけでは押し返されるほどだ。 ―すごい敏感だ…  嬉しさのあまり,ブライスは粒にやんわりと歯を立てた。 「ん,んーっ」  歯を食いしばった優志がブライスの両肩を押し下げて,ブライスの下から逃れようと動いた。ブライスは上半身を浮かせて優志の顔を見下ろした。優志の目尻に光るものが見える。 「ごめん,優,性急過ぎたかな…」 「ああ,…俺,久しぶりだから,何だか気後れしちゃって…」 「本当に久しぶりだよなぁ。俺,やり方忘れてるかと思ったけど…意外とできてる?」  ぷっと優志が笑ってブライスも声を出して笑った。それから優志の横に身体をずらして頬杖をつき,優志を見つめた。 「…愛しているよ,優…とても」  もう一方の手で優志の髪の毛を撫でる。優志は一度目を伏せてから,しっかりと視線をブライスに戻した。 「俺も…ブライのことを愛してる。先生とのこと,助けてくれてありがとう。ブライの助けが無かったらどうなっていたかわからないな…こんなにブライスのこと好きなのに…」  優志はブライスの胸に額をくっつけて,ブライスの腕にしがみついた。 「ちゃんと奴に拒否したのは優だ。優が自分で前に進んだからだ…」  顔を上げた優志の目は赤い。 「愛してる,ブライ。今までも…これからもずっと」 「ああ,50年先も100年先も,優のこと愛してる」 ―身体を繋ぐのは,焦らなくていい。ゆっくりと進めよう…  ふたりは抱きしめ合い,何度も口づけを交わした。  ブライスと優志に平穏な夏休みが訪れた。午前中それぞれ自習し,午後はスポーツと読書で過ごした。航空機やらロケット,それに探査機などについての文献が主で,そういったものを見ているとあっという間に時間が過ぎた。 大学の図書館と研究室,ブライスの家と寮の自室が,優志の全てだった。  8月の始めのある午後,優志は宇宙航空工学の研究室にいた。コンピュータ画面で没頭して見ているのは,秋から始まるゼミの担当教官の論文だ。  この時期に研究室にいられるのは,ブライスが研究を続けるために教授から許可を得ていたからだ。夏休みに研究室に来るのはブライスとマットぐらいであった。  コンピュータから離れたソファでマットはブライスに小声で話しかけた。
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