湖の約束 3

52/102

151人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
骨張ってきた顎,秀でた額,聡明さに深みを加えた目もと,薄く引き締まった唇,筋張っているがしなやかに伸びた指…。  ブライスの手と指がどんな風に自分に触ってきたか思い出し,優志の身体が熱くなった。レーニア山からの帰りに入ったモーテルでの初めての時,秋保温泉の畳の上で狂おしく求め合った時,一番最後に身体を重ねた東京での夜…。  付き合って3年経とうとしているが,繋がった回数は僅かで,実際両手の指で足りる。その一回一回を,優志は鮮明に覚えている。 頭の中に次々と湧いてくるブライスとの熱い場面に翻弄されて,優志は崩れるようにソファに座りこんだ。身のうちに生じた熱を解放できず,両腕を自分の身体に回してその熱さに耐えていた。 ―ブライ,この熱を…どうにかして…。俺を…どうにかして…  カチリと音がして浴室のドアが開き,ブライスが戻ってきた。ハーフパンツをはいただけで,上半身は裸のままだった。  ソファに近づくと,ブライスは優志の様子が尋常でないのに気がついた。ブライスを見上げた優志の目は赤みを帯びて潤んでいて,今まで見たことがない程の欲情が浮かんでいた。 「優…」  呼ぶなりブライスは優を強く抱きしめソファに押し倒していた。 「はぁ…んっ…」  優志は押さえた吐息と共に同時に胸を大きく上下させ,股間で緩く動くブライスの頭を堪らなそうに撫で回していた。  ブライスの口に含まれてあっという間に爆ぜた。1年ぶりという時間の長さと,ハーヴィッツとのことがあった後という心理的な開放感と,否定できない後ろめたさで,簡単に堰は溢れた。  ブライスが最後のしずくを先端から吸い取るようにして一旦唇を離し,まだ硬さを保った優志のそれの裏側の筋に舌を這わせた。 「…優,凄く濃いのが…たくさん出たな…」 「…っ…だって…久しぶりだったし」 「ん,そうだよな。優のここ,久しぶりだからもっと味わいたい…」  舌でチロチロと柔らかい皮膚をなめ回しながら喋るから,ブライスの熱い息が当たって優志のものはふるりと震えてまた硬度を増しそうになる。  優志はブライスの腕に手を当てて少し引き上げた。可愛い昂ぶりを舐め上げながらブライスが目線だけ優志に向けると,切なげな目でブライスを見ている。先ほどまで長く吸われていた唇が腫れ気味で,自然と開いてしまうようだ。小刻みに震えている。誘うように…。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

151人が本棚に入れています
本棚に追加