湖の約束 3

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 頬に軽くキスが落とされ,それから唇がそっと合わされ押しつけられてちゅっと吸われた。 「…俺も,ブライのこと,愛してる…。だから,全部…あげ…る」 ―全部…全部,受け取ってもらった…?  意識が朦朧とした中で,何かを忘れていたような気がして,でもそれが何だったのか考え続けることができなかった。  意識が暗い淵に沈んでいく時,ブライスが優志を抱きしめたから,優志は無意識に手をブライスに伸ばした。  ここはブライスの腰,そう思ったところで優志の手が触れたのは,肌に張り付いた薄い感触の布だった。 優志は,困惑していた。  モーテルの夜から2週間。    始めは,こういうこともあるかなと,どうにかして自分を納得させていた。ブライスが優志を可愛いと思う余り,気を失うようにして眠りに落ちるまで優志を追い詰めた。そのせいで自身の欲望が達せられなかったのだと。  だからブライスは最後まで下着を着けたままだったのだと…。  しかし,2週間経った今でも,ふたりの営みは優志の吐精で終わる。ブライスが下着を外すことはない。  優志がブライスの方へ手を差し伸べると,やんわりと押し戻される。 「優志の身体が慣れるまで,焦らないでいこう…」 ―慣れるも何も,3年前に初めて身体を重ねた時から自分には何の問題も無かった,最初から良かったよ… 「俺たち,お互いの気持ちを確かめ合った後,時間がなくて,さぁやろう,っていう感じだっただろう? そこのやり直しをしよう,ゆっくりと,な」  ブライスの言うことはわかる,理屈はわかる,でも,と優志は思う。 ―その下着の中が,少しも大きさを変えないのは,なぜなんだ…  体調が悪いのだろうかと,思う。  そして,考えを巡らせるうち最後に辿り着いてしまう,ある不安。  普段は考えないようにしているが,心の奥底に貼り付いてはがれない不安。 ―ブライは,本当は嫌悪しているのではないだろうか…俺を。俺の身体と繋がるのを…  優志は不安でたまらず,どうしたらいいのかわからなかった。  
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