湖の約束 3

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「いっ…」  ブライスは,自分を締め付ける優志の手を引き離そうとした。が,そうすると益々優志の手に力が籠もる。 「飲んだっ,飲んだ!規定の5分の1だけ飲んだ。だけど効き目が現れた時間からして,今日勃ったのは,明らかに自力でだ!いや,優のお陰だ,浴衣を着た優が超絶色気があったから俺の海綿体が充血したんだ!…今もこんなに硬いのは,もしかしたら薬の影響かもしれないが」 「…飲んだのか」  優志の三白眼があっさりと崩れた。 「ブライ,俺が言いたいのは,俺には嘘をつかないで,本当のことを言って欲しいってことだよ。どんなに小さな事でも,言いにくいことでも,事実を伝え合うのが一番だって学んだじゃないか,俺たち…」  優志がゆっくりと昂ぶりを扱く。目はブライスの視線を捕らえたままだ。 「ああ,そうだったな…。本当に悪かった,優,…俺のプライドが邪魔して…」 「…わかった。…ついでに訊いておきたいんだけど…」 「…ん?」 「ブライスが抱いたふたりってどんな男だったの?」 「………えっ!」 「いや,別にそいつらに嫉妬してるとかではなくて,ブライスが誰かを抱いたっていうことは知っているのに,どんな奴なのか知らないのが何かこう,落ち着かなくて…。見た目はどんなだった?」  また優志の手に力が籠もりそうな緊張感が漂っている。ブライスは細く溜息をついた。 「優,それを知っても…大丈夫か?」 「大丈夫だ」  優志が手をゆっくりと上下させる。ブライスは諦めたように天井を仰いで,力なく口を開いた。 「…一人目はヒスパニック系の…筋肉質な労働者風で…俺と同じくらいの年の男。…二人目は金髪碧眼で少しぽっちゃりした感じの…俺より若い社会人だった…」 「…ふーん,…名前とか覚えてる?」 「いや,知りたくなかったから訊かなかった。…俺は…恥ずかしいことだが性欲を満たすために出かけて,ただヤれればいいという感じの男を探したんだ。名前どころか,顔さえ覚えちゃいない…。すぐに忘れてしまえばいいと思って,わざと優とは似ていないタイプを探したような気がする…」 「…そんなセックスをしたんだ…」 「飢えていたとはいえ,あさましい性(さが)だよな,我ながら…」
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