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ブルーベリーとふたりの唾液と喘ぎが優志の口の中で混ぜ合わされ、双方の喉に別れていく。
それを4度繰り返した。
最後の口づけが終わり,ブライスがゆっくり顔を引いて優志の頬を両手で包む。優志は目を瞑って熱情の波の余韻に浸っている。
「大丈夫か,優」
優志は目を瞑ったまま,唇で微笑みを作ってゆっくり頷いた。
ブライスは右頬を合わせて優志を抱きしめた。世の中にこんなに愛おしい男がいるものなのかと胸が熱くなる。そして,その男が自分の腕の中で溶けている。
優志はブライスの左肩に顎を乗せて,ふうー,っと息を吐いた。
「ブルーベリーを食べるときは,気合いが必要だな…ちょっと油断した」
頬をくっつけたまま喋ると,声がふたりの骨に響いて鼓膜に伝わってくる。それが心地よくてブライスは言葉を繋いだ。
「この時期にまだブルーベリーが売られてるのか」
「カナダ産の晩熟のものだそうだよ」
「ふーん…」
「ローレルハーストの山側にスーパーマーケット・サンド・ポイントっている店があるだろ,あそこでオーガニックな食料を扱っていてさ…」
「……」
「さっき,そこに行ってきたんだ」
ブライスは目を閉じて,大きな溜息を一つ吐いた。
「…優,何が言いたい?」
優志は小さく息を飲んだ。
「ん―…あのさ,俺…」
優志は自分の顔をブライスの肩から引き離すと,ブライスの両肩を掴んで彼の目を見た。
「俺,そこでバイトをすることにしたんだ,木曜の夕方と土曜日の一日。寮の奴が,俺と同じ修士1年なんだけど,そいつが紹介してくれて。スーパーなら日本のコンビニで働いたことがあるから馴染みがあるし。ブライ,俺もお小遣い程度稼ぎたい。ブライみたいに教授の授業の助手とか学部生の一般教養の授業を持つなんて,今の俺にはできないからね」
一気にまくし立て,肩を上下させている。目に力がこもって強く煌めいていた。
「木曜の夕方と…土曜日一日か…」
ブライスが小さく繰り返した。
―イチャつけないじゃないか,優…
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