伝統

「だって、女できたんじゃ、しょうがないじゃん。あいつら女どもは、長旅自体、ブランド的な？別荘に行く感覚だし。しかも、ここで子供育てろなんて言おうものなら、ヒステリーおこすに決まってるぜ？お前説得なんてできないだろ？」

「だよなー。俺だってホントは、無駄に疲れる長旅なんてしたくないさ。本音言うと、お前がうらやましくてしょうがないよ。お前みたいに俺も一年中、ここでダラダラしたいわ」

「だろ？やっぱそうなんじゃん。お前もここに残れよ」

「………。一回だけ…。一回だけここに残ってみようかな…」

「よっしゃ、来たコレ。お前、すげぇわやっぱ。あ。でも嫁さんどうすんだよ？新婚だろ？」

「あいつもきっと分かってくれるさ。つうかよく考えたら、他の組合にもいい女はたくさんいるしなぁ。いざとなればアレしたっていいわけだし…」

「よし、そうと決まったら、あの岩の陰に隠れていったんやりすごそうぜ。初回ボイコットは、ひっそりと。あまり目立たない方がいい。引き止められても面倒くせーし。つかアレってなんだよ…」

「………………」