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「悩んでいても仕方がないさ。さぁ、僕がついていくから支度しなさい。あぁ、別にお詫びの品とかはいらないよ。ただ、身嗜みだけは整えて」
そこには人懐っこい笑顔を浮かべているだけの、頼りない部長の姿はなく、見た目は間違いなく彼そのものなのだが、どこか凛々しさを感じさせる頼もしい男が立っていた。
言われた通り、すぐさま身支度を整えて彼の後を追う。
ふと彼の持ち物を見るが、お詫びの品どころか、鞄一つ持っていない。
ちょっと待て。
いつもと違う彼の雰囲気に圧倒されて、つい自分も言われた通り身一つでついて来てしまったが、相手は我が社トップクラスのお取引額を誇る大事な相手。
しかも、原因はくだらないことかもしれないが、かなりご立腹されているところへの謝罪である。
何も持たずに訪問するだなんて、事態を悪化させるのではなかろうか?
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