脳内バトル~書籍との闘い~

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 人間ドラマがいいんだよな、この作家さんの本は。  表紙もいいじゃないか。なんともやさしさを感じるタッチで癒される。  給料日まで我慢だ。堪えろ、起き上がれ。楽しみはあとにとっておくことも乙なもんだろう。  おい、そこのレフリー。闘いを止めるんじゃない。俺はまだ闘える。まだだ、試合続行だ。  そう思いつつ、その本を手に取って書き出しに目を向けてしまった。 『どうだ、面白いだろう。もうすでにおまえは本の世界に惹き込まれている。この勝負、私の勝ちだ。そうだろう。主人公の気遣いに惚れただろう』  いかん、いかん。目を覚ませ。金欠病になっちまうぞ。  一旦、本を棚に戻せ。読みたい衝動をどうにか鎮めて開いた本を閉じて棚に戻した。よし、よくやった。  そう思った矢先、平積みになったとある本の表紙がキラリと光った。目の錯覚だ。ダメだ、ちょっと見るだけだ。買うんじゃないぞ。 『まあまあ、そう意固地にならなくても。ホラーの世界にちょっと足を踏み入れるのも一興だと思うけど。それほど怖くないからさ』  そんな言葉を投げかけてきた。
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