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俺にはどうして本の声が聞こえてきてしまうのだろう。これも俺の妄想が引き起こすものなのだろうか。
ちょっとだけだ。確認するだけだ。背表紙のあらすじだけ読むことにしよう。それなら、購入せずに気持ちを抑えられるだろう。
ほほう、なるほど。これは面白そうだ。
『買って、ゆっくり家で読んじゃえよ』
ああ、ダメだ。
俺は慌てて本を戻す。
何をしているんだろう。おかしな行動をしてやいまいか。大丈夫か。傍から見たら変な奴だと思われていないか。いやいや、そんな変じゃないだろう。すべては心の中で起こっている闘いだ。ただ本を選んでいる客のひとりと映っているはずだ。
大きく深呼吸をして、違う書棚へと足を向けた。
オススメ本が並んだ棚に目が留まる。
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