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待て、冷静になれ。俺は部屋にあるうず高く積まれた本の山を思い出す。積読本があるじゃないか。読む本は家に帰ればあるじゃないか。ここで新たに本を購入しなくてもいい。
待っているぞ、積読本が首を長くして読んでくれることを待っているぞ。
そうだ、そうだ、そうだ。
よし、逆転勝ち出来るぞ。勝負は最後までわからないと言うじゃないか。今日がそのときだ。このまま書店の出口へ向かえ。本の声に耳を貸すな。十分楽しんだだろう。
あと少しで出口だ。勝利はすぐそこだ。
俺は勝った気でいた。もう試合終了だと勝手に思い込んでいた。甘かった。出口の手前で本屋大賞受賞作と十位までの作品が平積みにされているコーナーが待ち構えていた。
しまった。まだ読んでいない。気になる作品が、すぐそこに。
油断していた。
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