第1章

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リネン交換ですと言われシーツと布団カバーなど一式を渡される。自分で交換するのだと思ってやり始めたが、これが難しい。他の人はどうやっているのかと思うが、みんなカーテンを閉め切っているので見えない。(普通の病院と違い自閉症の人が多いので、挨拶すらしないし会話もない、4人部屋と言ってもカーテンで仕切っているユニットが4つ集まった部屋)リネン交換をやっと終わったが週に3回もあったら大変だと心配する。出来なかったら声をかけてくださいと言われたが、掛ふとんのカバーすら替えられないなんて許せないので必死にやったが、ヒビがはいっている右腕が悲鳴をあげた。 そうしている間に、食堂ホールで体操が始まった。参加してくださいと言われたが、俺は健常者というプライドがホールに行くのをかたくなに拒む。 入所時に、シャワーはいつでも使えますとだけ聞いたが、実際には鍵がかかっているし時間とか決まってないのか分からない。随分と雑な施設説明だったのを思い出した。 まあ、動いていないし汗もかいていないし何よりシャワーの使用について、ナースステーションまで行くのが嫌だし、シャワーを浴びると洗濯物が発生するのが嫌なので、今日は様子見だ。 人類が活動を行うと地球のエネルギーを使い環境を壊すというのがよくわかる。ナマケモノ程度でいいのだ。 俺はなぜここにいる どうしたら出られる 出てどうするの 出たくないんじゃないか 出てもすぐ帰艦かも ふと、「すいませーん、私普通なんで出てもいいですか」と言いたくなるが、普通じゃないからここに居るんだよなと思う。 俺の部屋のユニットは4つで簡単に紹介すると 向かいの20代の若者でおそらく軽い鬱自閉症。時々お母さんらしき人が迎えに来て外出しているので退院が近いのかと思うが、病室にいる間はずっとベッドの周囲を歩いている。多分外出しているので、前よりは良くなったのかと推測される。 隣はとにかく動かない。物音たてないし動く様子もない。ひたすら寝ている(眠っているかは分からない) 斜め向かいの初老の方は、とにかく便秘を訴えて昼はじっと横になっている。本領を発揮するのは丑三つ時位から、ぐぎゃごーなどの猛獣の鳴き声のようなイビキが始まる。こっちは強い睡眠薬飲んででも時々起きてしまうくらいすごい。便秘よりそっちを治療したほうが良いのではないかと思う。 ここは待のはずれの山の中に建つ精神病院の閉鎖病棟
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