第1章

5/97
前へ
/97ページ
次へ
いまだカウンセリングというか診察はない 12月22日 火曜日 仕事をしていたら、売れ行きはどうだ、クリマスの準備はどうだ、最年末の見通しはと、最も気を張る時期だが、今はつくづくタリーズコーヒーの美味しさに感謝している。コーヒーをこんなに味わって飲むことは今まで無かったと思う。もしかすると他のコーヒーの方が美味しいかもしれないが、タリーズは既に我が戦友となっているため、退院後も飲み続け、感謝の手紙を書いてメーカーから一箱送ってきたらいいなあなどと考えていました。 今日は入院三日目で初めてのシャワー。いかんせん使用方法がどこにも書いてなくわからないので、仕方がなくナースステーションへと向かった。普通の病院なら開放的なのだが、精神病院のナースステーションは、さながら看護師の最後の砦的な趣きで、ドアは必ず施錠し窓も少ししか開かない。なぜかバイオハザードを思い出す。シャワー室の中は普通のユニットバスで可もなく不可もないがとりあえずさっぱりとした。 さあ、次は洗濯だ。これまた使い方の説明をちゃんと受けていないし書いてもいない。説明しても書いても無駄だから聞くたびに教えこむ作戦なのか。アメニティカードというものを売店で購入し、それを使用して洗濯機と乾燥機を使うとのこと。ちなみに売店までは閉鎖病棟の人はいけないので看護師に頼んで買ってきてもらう。 今日は「硫黄島からの手紙」という映画を見た。 戦時中に比べたらここは天国だな。そういえば、前に山崎努?主演の刑務所の暮らしぶりの映画を見たが、その中でも、ここは3食ちゃんと出てきてシャバよりいいなと言っていた。そういえば、俺も3食食べるなんて入院した時だけだな。入院している時が一番健康で元気なのかもしれない。 退院した後の事は考えないようにしよう。どうせ同じことの繰り返しだろう。ただし今回は入院という秘密兵器を使ったので、退院後に発作を起こした時は何をしでかすか自分でも分からない。記憶がないのだ。発作を起こす原因は分かってはいるが、わざとではなくてもそこにハマってしまうというか、スイッチを押してしまう。
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加