第1章

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今気がついた、なぜ俺が開放病棟ではなく閉鎖病棟なのかが。この病棟にいる人の数人は事件性を伴う事をしでかしそう(無差別殺人とか自殺とか)なのだが、この俺もここにくる前は記憶を無くし何をしでかすか分からない状況だったのだから、閉鎖病棟で当然だ。よくテレビで「普段は真面目でそういう事をする人には見えない」と聞くが、普段からそういう事をしそうな人は隔離されているのだ。そして、たまたま隔離されていない奴が事件を起こすのだ。俺も何かする前で良かった。昔、睡眠薬を全部飲んだことがあったけど、その時はたまたま睡眠薬だったからで、車で人混みに突っ込んでいたかもしれないし、包丁振り回していたかもしれない。死にたくて睡眠薬飲んだわけでも車で人をひきたかったわけでもなく誰かを刺したかったわけではないのだ。 あー、いま病院で良かった。 12月23日 水曜日 当たり前のようにクリスマスの雰囲気はない。 ここの看護師はなぜこの仕事を選んだのだろう。他の病院が無かったか他の病院から移された以外は、この精神科を選んだわけで、どう考えても他の病院のほうが楽だと思う。他の病院なら4番でピッチャークラスが勢揃いの、何回か前のオリンピックでのアメリカバスケットチームのような病院をあえて選んだのは、それなりの理由があるのだろう、やりがい、達成感、夢などの綺麗な理由もあれば、自分より下の人間を見たい、怒るなどの優越感の人もいるかも。3交替とかで夜勤もあるだろう。中には子供がいたり母子家庭だったり、家に要介護者がいるかもしれない、普通の家だったら帰ったら何もしたくないだろうなと思う。 この仕事をしていて鬱になったら、自分の職場で診察してもらうのか? まだ医師の診察室、説明はない。 ここの住民は全員「普通」ではなく個性が強い人達だが、特に気になる人が数人います。 あまり詳しく書くと個人情報になるので注意しながら。
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