第1話  嘘つきな悪魔

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姉の結婚に先だち 親族紹介のレストランで その人を一目見たとき、 甘い胸の痛みと切なさと、 絶対に手に入らない現実との前に うちひしがれた。―― 姉の結婚相手の京一さんは、 私の10も年上の28歳。 容姿端麗なうえに物腰も穏やかで、 会うたびに優しい笑みをくれる。 いつもきちんとした 紳士的な身なりをしていて、 その声は低く優しい。 対して私は 短大に入学したての18歳。 Hの経験は何度かあるけれど、 特定の彼氏は今はいない。 テニスサークルのセンパイからは 何人か付き合ってと言われたけれど―― はい、と返事が出る前に 京一さんの横顔が浮かんでは邪魔をする。 ……あの人は、どんなふうに 姉を抱くのだろうか。 想像するほど胸がざわめいて、 ひとり暮らしのアパートの休日は 妄想にふけって半日が過ぎる。
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