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始業式のその日、浩は身に迫るどこかしら嫌な寒気を感じ、いつもより早めに帰宅の途についた。
学校を出た頃には燦々と降り注いでいた春の日差しも、しっかりと闇に色を変えていた。
浩は帰って速攻部屋に篭る癖がある。親の声には耳を傾けない。友達の誘いがあるわけでもなく、ただ一人部屋で瞑想する退屈な毎日だった。
だが今日は違った。どこか頭から離れない、嫌な予感があったからだ。
勿論その主は小須田だった。ひと目見たときから、恋とは違う、何かを感じていた。それは、何か自分に危ないことじゃないかと思っていた。
「…バカバカしい」
しばらくして、浩からいつもの口癖が漏れた。自分は疲れている。そう思って、浩はいつの間にか瞼を閉じた。
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