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子供部屋からだった。
「うわぁーん、わぁーん」
「たっくん? どうしたの?」
部屋の中は暗かった。
だから・・最初は良く見えなかった。
ただ・・、ガサッ、ガサッ、って・・何の音?
けど、だんだん見えてきた。
足元をはい回る・・床一面の黒い虫・・・
「ああぁぁあぁぁぁぁ」
腰が抜けて、床にへたり込み、ついた手の上に、黒い虫が這いまわった。
「いやぁぁぁぁ!!」
両手を小刻みに振り回した。
どっからどう見ても、ゴキブリだった。
それが、子供部屋からリビングに、すごい早さで移動してきた。
ガザガザガサガサガガサ・・・・・・
「ぎゃあああああああああ!!」
急いで立ち上がり、テーブルの上に上がった。
けれど、おぞましいゴキブリは四方八方にちらばり、あっちにも、こっちにも、テーブルの上にも上がってきた。
「ママーごめんなさーい。 カエルさんのご飯にしたかったのー。
それでねー、どんどん増えちゃったのー。
そしたらね・・虫さんの箱、落っことしちゃったの。
うぅわーん。みんな逃げちゃったよぉ」
その時、虫かごから跳ね飛んだ、ヒキガエルが、美味しそうにゴキブリを口に入れたのを見た。
それが・・私の最後の記憶・・・その後どうなったのかは・・・。
わからない。
「やったぁ~実験成功! カエルさん、どんどんゴキブリ食べて~!」
拓未の嬉しそうな声が、遠くから聞こえていた。
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