お客さん、という存在。

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お客さん、という存在。

はじめに何を書こう。そう考えたとき、私が接客業で一番大切にしているものがいいと思ったので、お客さんについて書くことにする。 お客さん。 まず、この呼び方にさえ、私はこだわりがある。 本当に礼儀正しく敬うなら、“お客様”が正しいとは思うし、店員同士やプライベートで話すときよく耳にするのは、“客”だった。 “客”という呼び方は、どう聞いても店員の奢りやふてぶてしさが露呈しているように聞こえる。私は、お客さんのことをどんな場面であれ、「客」と言う店員が嫌いだ。これは、高校生の頃からずっとそうだった。言う人が店員という立場でなければ気にならないのだけれど、接客業をしている人が言うのはどうも気になる。 私にとって、喫茶店で働く上で(と限定させていただく辺り、プロとは言えないのは自覚しています)、来店した方はほぼ全員、大好きだ。その人たちを、見下したように「客」などと呼ぶような人には、正直、接客をして欲しくない。それくらい、心のある人にやってほしいと思っている。 “お客様”。この呼び方は、完全に私の偏見なのだけれど、敬いすぎて身近でない感覚。一線を確実に引いている感覚があって、私は使いたくないだけで、場に応じて使うことは勿論あるし、この呼び方をほかの店員が使う上で否定することはない。 なぜ、“お客さん”なのか。 それはシンプルに、親しみがあるから。この要素が一番大きい。 私の中でお客さんというのは、どういう理由があるにせよ、うちの店を選んで来て下さった人で、くだけて言えば、友人が来てくれたような嬉しさがある。お客さんにも、親しみやすさを感じてほしいとも思う。 私がどんな店でもリピートしたいと思う要因は、商品の質の良さではなく、接客の質の良さ。店員さんが感じが良い、親しみやすいお店というのは、また行きたくなる。 そんな、持ちつ持たれつの関係を、有意義に過ごしたい。お客さんの笑顔が見たい。それが、この呼び方へのこだわりに繋がっている。
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