尊敬する人と、そうでない人。

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そして、もう一つの職場。 こちらは、その形態としても私が大切にしている職場だ。喫茶店。ここは、なんてったってバランスがいい。オーナーは店舗には立たない人で、現在、店長以外は全員アルバイトという状態。オーナーは、私たちアルバイトには絶対に厳しい顔を見せない人である。どんなに怒り心頭でも、店長以外にはその顔を見せない。そこで中間管理職にあたる店長が、店を仕切るわけなのだけれど。 私も含め10年かそれ以上の期間、働いているアルバイトが3人もいて、皆それぞれ重点を置くところが違うときている。それが大切なことなのだと思う。 オーダーの提供も、片付けも、なんでも迅速にやることを大切にしている人がいる。自分が完璧に仕事をこなすことが何より重要な人がいる。感じの良さ、接客に長けた人がいる。その中で私がすることは、足りないポジションに入ること。 みんな、仕事だから業務内容は教えるけれど、理由を教える人が意外と少ない。 たとえば、“空いている食器を下げに行く”という業務。それだけを伝えたら、それしかやらない人が多いのだけれど、重要なのは店内を見回ることだ。水のグラスが空になっていないか、空席状況はどうなっているか、大きな声を出すのが苦手なお客さんなら店員がきてくれるのは有難いかもしれない。たった一つ、食器を下げる業務の中にこういう大切なことが含まれているなんて、教えている側の人でも考えないことがある。 暇になったらやらなきゃいけないこと、として覚えられるのが何より良くない。本当なら、暇でなくても隙を見計らってやるべきことなのに。優先順位を考えて、できることを一つ一つやっていくのが大切なのだ。 私にしかできないことなんてないかもしれないけれど、周りがやっていなくて私ができることは探すと沢山あって面白い。 できる人ができることをしているのに、それに被せて同じことをしたところで大した意味などなくなってしまう。その日にシフトに入っている人が、どういう動きをする人なのか。適材適所、得手不得手。皆それぞれにあるものを、どう活かせるのかを考える。できれば楽しんで、尚且つ、ここでだけでなく活きることを心に残してほしいと思う。
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