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「この巾着袋の中に入っているコイン。一人当たり百枚あるわ。これを三百枚集めた人間から、別の人間として生き返る機会をあげる。このコインの譲渡のやりとりはあなたたちの自由。人にあげてもいいし、何らかの取引をしてやり取りをしてもいい。もちろん、相手を殺して逃げてもいいのよ」
相手を殺す。
その言葉にドキッとした。物騒な言葉だ。
「次に冊子を開きなさい」
彼女に言われるがまま、冊子を開いた。そこにはイニシャルと性別や、ちょっとした紹介がされているが、いくつかバツがついていた。
わたしについていたのは身長175センチ男性、七十五歳のMMさんなど、他にもいくつか×がついていた。
逆についていなかったのは156センチの会社員の女性、158センチの大学生、160センチの高齢の女性など。わたしと身長が近い人に限定されていた。あとはスタッフ数名とかかれたところも×がついていない。
「あなたたちが生まれ変われる候補の人間にはこうしてチェックをつけているの。この候補がゼロになった人はもちろん失格。死んでも失格。コインがゼロになっても失格。こんなところね。何か分からないことはある?」
みなしんと静まり返っていた。
分からないことがないわけではないだろう。だが、わからないことが多すぎて、混乱しているのだと思う。
わたしもそうだ。
よく意味が分からない。
「まあいいわ。何か連絡したいことがあればあなたたちの首についている通信機で連絡を取りなさい」
わたしはその言葉で首にネックレスのようなものがついているのに気付いたのだ。
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