13人が本棚に入れています
本棚に追加
「………。
ヤダ…俺帰りたい。今すぐソッコー、帰れるんなら本家でも良い。」
つまらなさにも慣れた始業式を終えて、ホームルームも終えて…夾夜は生徒会室の扉を少しだけ開けて覗き、そして一瞬でシャットアウトし明後日の方向を向いて言った。
夾夜が帰る場所に本家を出すのは珍しいことで…
その言葉から、生徒会室の前をたまたま通りかかった生徒は生徒会室の現状況を伺えることが出来た。
「あっ、そうだ…。夾夜、一度本邸に帰って来いって言ってたぞ?じっちゃんばっちゃんへの挨拶とその他モロモロの諸事情で…。」
ガックリと肩を落とした夾夜だったが、慶は全く気にしていない様子でふいに思い出したように夾夜に告げた。
「…分かった。でも、また今度…落ち着いてからにするよ。じっちゃんばっちゃんには会いたいが、雑務以外のこともまだ手付かずだからな。」
「宜しくお願いします、会長。」
「…ったく、よくこんな部屋で仕事が出来たもんだ。」
夾夜は大きな溜息をつくと、そして今度は自分の体が入れるか入れないかの隙間を開けて言った。
「悪いな、夾夜…。どうも片付けは苦手でな。」
「いや…、三ヶ月もほったらかしにしていた俺の失態だ。気にす。じゃ、さっさと片付けるか。今日は部活の方にも顔を出さなきゃいけないからな…。」
慶の言葉に夾夜は苦笑すると、復帰そうそう疲れた表情で言った。
最初のコメントを投稿しよう!