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PM3:00
「まぁ、あんなもんだろう…。」
夾夜が紙の森と化した部屋を片付け始めてから約2時間…。
生徒会室再奧にある生徒会会長室のドアを開けながら言った。
「…終わった……のか?」
カチャリと開いたドアの音に慶は顔を上げた。
「あらかた…な。慶は?」
「後はお前のサイン待ち…。」
苦笑いを浮べている夾夜に、お疲れ…と言って慶はそっと椅子から立ち上がった。
「そうか…ご苦労様だったな。」
そして夾夜と席を交代した。
「向こう…、見てきて良い?」
「あぁ、かまわないぞ。が、散らかすなよ?」
夾夜は席につくとさっそく机の上に置かれてある書類に目を通しながらクスクス笑って慶に言った。
「見るだけだって…。」
そんな夾夜を見て慶はムスッとした感じで言うと、再び会長室の扉を開けた。
「…すげぇな、やっぱ。
なぁ、夾夜…お前もしかして部屋の片付けとか自分でしてる?」
キレイサッパリといった感じにしっかり整理整頓された部屋を見て、慶は開けられた扉の向こうにいる夾夜に尋ねた。
「いや…、片付けするほど散らかってないし。そもそも片付けれる程物を置いていない。
…掃除は任せきりだが。」
慶の言葉に夾夜は作業しながら苦笑して答えた。
任せきりというのは家で雇っているメイドに任せきりという意味だ。
とは言えど、夾夜が命じたわけではなくそれも含めて雇われているのであるが…。
「だよな。…ならなんで、コンナニ綺麗にお片づけが出来るんだ?」
夾夜の住む第二邸宅だけでなく、明月本家はもちろん慶たちの家もお手伝いさんを雇い家の事は全て任せきりなのである。
「………。
散らかってるのが嫌い。見ていられなくなるだけさ…。そんなことより、行くぞ?」
書類の目通しが終わると夾夜は音も無く立ち上がって慶の質問を流すようにサラッと答え、出来上がったプリントを手に立ち尽くす慶の横を素通りして生徒会室を後にした。
「ちょ、ちょっと待てって…。」
全く何事にも気にせずに出て行った夾夜に慶は慌てて部屋を出て、夾夜の後を追いかけた。
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