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「新入生の諸君、ようこそ我が弓道部へ。俺が弓道部部長明月夾夜だ。明月は俺と従兄弟の慶の二人いるから名字で呼ぶとややこしくなるぞ。どう呼ぶかは諸君の勝手だが。
とまぁ前置きはさておき、諸君も知っている通り…俺と慶はあまり部活には出られない。まぁ今まで通り様子は見に来るし、来られる日は前もって連絡して指導に当たりたいと思っている。部員の諸君は分かってくれていると信じるが、新入生の諸君は部長がいない部活なんて部活じゃねぇだろと思う人もいるかもしれない。が、問題を起こさず全てを丸く収めるには諸君の理解と協力が必要だ。」
夾夜は真剣な顔で道場にいる全員に言った。もちろん自分にも言い聞かせるように…。
「……。」
夾夜の言葉を聞いた部員たちは夾夜の言う事を把握したのか無言のままでしっかりと頷いた。
「問題は起こしたくない。まぁ、弓道をしたいと思う者同士だ…心配はしていない。せっかく大勢で弓道をやるんだ。ここでは精神を鍛えて心を養ってほしい。
…っと、おしゃべりが過ぎたか…。諸君、今日はこれで解散だ。お疲れ様。」
シーンとした道場に凛とした…しかし優しい夾夜の声が響いた。
午後4時ジャスト…、夾夜は挨拶とともに終業を告げた。
「お疲れ様でした。」
夾夜が先にお辞儀をして、部員たちが優雅に終業のお辞儀をした。
そして4月の夕日は暮れていくのだった。
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